雄武町と鮭
オホーツク海に面した雄武町では秋になると鮭定置網漁が盛んです。
町民たちがこよなく愛する鮭は【捨てるところ無し】と言われるサスティナブル食材!
鮭の身は新巻鮭や山漬けなどに、筋子はイクラに加工され流通していますが実は他の部位もとっても美味しいのです!
頭はぶつ切りで煮つけるのも良し、鼻先を薄切りにするとコラーゲンたっぷりでナマスにしたり飯寿司に入れて楽しみます。
中骨に沿って一本通っている血合いは腎臓で、塩漬けや醤油漬けにして【メフン】という珍味となって販売されています。
“さらに”町内ではキモと呼ばれる心臓、チュウと呼ばれる胃袋はこの季節にしか食べる事ができない貴重な食材。
“しかも”漁業者や水産加工業関係者しか手にいれることができないもので、加工場に勤めている町のお母さん達は専用のバケツを持参して拾い集めて自宅へ持ち帰ります。秋のご馳走です。
調べてみると、道外はもちろん、道内の方でも食べた事がない人がたくさんいることや、持ち帰っていても、たくさんの貴重な食材が廃棄となっていることもわかりました。
雄武町観光協会では、ここに着目し【新しい地元グルメ】開発に挑戦する事にしました。
このページでは、鮭の内蔵を活用した地元グルメ作りに関わる情報の発信をしてまいりますのでご注目ください。
(公社)北海道観光振興機構の『令和5年度地域の魅力を活かした観光地づくり推進事業』の支援を受けています。
鮭 定 置 網 漁 9月〜12月
9月から始まる鮭定置網漁は、魚の生態を生かして回遊してくる鮭を引き込み漁獲する漁です。雄武町では幌内地区から沢木地区まで5つの定置網漁の船が操業しています。
定置網の構造は広く、手綱を引いて誘導された魚は運動場と呼ばれる囲い網へ集められ、登り網を登って、奥の身網に入って行きます。
集められた鮭は定置網の中に大きなタモ網を差し込んですくいあげ
船の生け簀に入れられます。
この作業は「おか網(一番陸地に近い場所)」「なか網(中間地点にある場所)」「おき網(一番沖にある場所)」と3箇所、6つ〜8つほどの網をおこします。
鮭を積んで港に帰ります。
水揚げをし、その場で選別が始まります。
オス・メスだけではなく、鮭の状態によるランク分けもこの場で行い
それぞれ買い付けをした加工場へ運ばれ、新巻鮭や山漬けなどの加工をして全国の食卓へ届けられるのです。
町内での鮭モツの食べ方
捨てる所なしと言われる鮭ですが
内蔵の中でも白子(精巣)は煮付けや天ぷらなどに使われますし、メフン(腎臓)は珍味としてよく知られています。
町内ではこの他に「キモ(心臓)」「チュウ(胃袋)」は
秋のご馳走として食べるご家庭が多いのです。
昔からよく食べられているのは「チュウ鍋」と呼ばれる煮物料理で「キモ(心臓)」と「チュウ(胃袋)」を野菜と一緒に醤油味で煮込みます。ここに白子が入るとコクが出てより一層風味が増すご馳走です。
他にもシンプルに塩コショウや焼肉のタレに漬け込んで焼いたり、白子のバター焼きや、燻製などにする人もいます。
鮭を加工する様子
腹に包丁を入れて開きます
水産加工場見学
※一部鮭の血が写り込みます
洗い
内蔵を外した鮭を洗います
山漬け加工
塩漬けにした魚を重ねて漬けます
鮭のお腹の中
白子など内蔵は全て外します
鮭キモ(心臓)
アゴの下あたりに付いています
このキモを含む内蔵は全て廃棄対象となります。
美味しいのにもったいないですね!
この度のグルメ開発に各加工場に協力を求め、
キモ、チュウ、白子をご提供いただきました。
おうむの宝・うまいもんまつり
雄武町の秋の食イベント【おうむの宝・うまいもんまつり】では鮭キモの鉄板焼きを提供し
食べた方にアンケートの実施を行いました。
町外からの多数のお客様が「知らなかった」「初めて食べた」という反応で
感想も「意外と美味しかった」という声を多くいただきました。
その反面「固い」「独特な臭みがある」といった声もあり、この意見が今後の課題になることも再確認しました。
しかし、100食分の試食はあっという間に配布終了となり「新しい地元グルメ」に対する
皆さんの関心度の高さも伺えました。
試 作 会のようす
町内のお母さんに協力を依頼し、チュウなべや、塩胡椒炒めなどを試作しました。
イベントでのアンケートを踏まえ、素材の塩揉みと湯通しをする事で臭みはかなり軽減されましたが、関係者からは「旨みとなる臭みがかなり無くなっていて物足りない」という意見も多く、こちらも課題となりました。
「臭み」「旨み」のバランスが難しいですね。
試食会 ホテル日の出岬
北海道新聞2月7日掲載
著作物利用許諾番号:D2403-2503-00027861
町内有識者、関係者を招いて試食会を開催しました。
今回はホテル日の出岬様にご協力いただきましたが料理長からは原材料の保存の難しさや調理方法などについてたくさんのご指摘がありました。しかし和食、洋食、中華それぞれのシェフが15品ものメニューを考案してくださいました。
和食は食べ慣れた味付けに近く、好評を得ました。
洋食、中華、エスニックメニューでもそれぞれに「こういう食べ方があったんだ」という料理が並びました。
参加者の中には保存方法も含めて面白い取り組みだと興味を示してくださった加工業者もいらっしゃり、今後の展開のイメージをつかんだ会となりました。
北見市試食会
北海道新聞2月24日掲載
著作物利用許諾番号:D2403-2503-00027861
北見市【無国籍料理とお酒 TONAKAI】様にご協力をいただき、2月22日から3日間限定で試食アンケート調査を行いました。
「雄武の味を北見で試せる3DAYS」として事前に新聞告知を掲載。
2月後半の連休と重なり、オープンと同時にたくさんのお客様にお越しいただきました。さすが北見の人気店です。
皆さんにはお通しとして、雄武町の味をお試しいただきました。アンケートでは「美味しかった」「興味を持った」との回答が多数。煮込み以外のレシピに関するアイディアもたくさん集まりました。今年の秋に試すのが今から楽しみです。
特定非営利活動法人 雄武町観光協会
地元グルメ商品化事業
(公社)北海道観光振興機構の『令和5年度地域の魅力を活かした観光地づくり推進事業』の支援を受けています。